【第3回】「転籍」が認められる時代へ ~企業に求められる『選ばれる職場づくり』~

いつも当事務所のブログをご覧いただきありがとうございます。
「転籍が認められるって聞いたんですが、本当ですか?」
「うちで一生懸命育てた人材が、他社に行ってしまったらと思うと…正直、不安です」
育成就労制度の改正ポイントの中で、
経営者の皆様から最もよくいただくのが、
こうした「転籍」に関するご質問です。
気持ち、本当によくわかります。
第3回となる今回は、
新しい転籍ルールを正しく理解し、
不安を「対策」に変えていくための情報をお届けします。
目次
① なぜ、転籍が認められるようになったのか
これまでの技能実習制度では、
原則として転籍は認められていませんでした。
やむを得ない事情がない限り、
最初に決めた受け入れ先で3年間働き続けるのが基本だったわけです。
しかし、
その仕組みが結果として「不当な低賃金でも逃げ場がない」、
「劣悪な環境から抜け出せない」という状況を一部で生んでしまい、
人権上の問題として大きな批判を受けることになりました。
そこで新制度では、
本人の権利を守りつつ、健全な労働市場をつくるために、
一定の条件のもとで「本人の意向による転籍」が認められることになったのです。
② 転籍が認められるための「3つの条件」
「じゃあ、いつでも自由に辞められちゃうの?」――いえいえ、ご安心ください。
決して無制限ではありません。
以下の3つの条件をすべて満たしてはじめて、
本人都合の転籍が可能になります。
・同じ職場で一定期間働いていること:1〜2年(分野により異なります)の就労経験が必要
・技能と日本語のレベル:技能検定基礎級に合格し、日本語も1相当に達していること
・転籍先の正当性:転籍先が、適切に受け入れる体制の整った企業であること
つまり、
「ちゃんと頑張って実力をつけ、ちゃんとした転職先がある場合に限り、認められる」というのが
基本的な考え方です。
③「初期費用が無駄になるのでは…」というご心配について
「呼び寄せに何十万円もかけて、
住居も整えて、
研修もして…それなのに、
すぐに他社に行かれたらたまらない」
このお気持ち、
当然だと思います。
私たちもよく耳にする、
最も切実なご相談の一つです。
この点については、
ガイドブック等の解説で、
転籍先の企業が、
前の企業が負担した入国初期費用の一部を分担する仕組みも検討されています。
一方的に「逃げ得」「行き得」とならないよう、
制度として調整が入る見込みです。
もちろん、
細かいルールは政省令でこれから決まっていきますので、
最新の動きはまた当ブログでお知らせしてまいります。
④ これからは「選ばれる職場」をつくる時代に
少し視点を変えてみましょう。
転籍が認められるということは、
外国人材から見て「魅力のある会社」には人が集まり、
「魅力のない会社」からは人が離れていく、
というシンプルな市場原理が働く、
ということでもあります。
では、「選ばれる職場」とはどんな会社でしょうか?
・適正な評価と、頑張りに応える昇給がある
・国籍に関係なく、互いを尊重し合えるコミュニケーションがある
・「特定技能1号 → 2号」と続いていくキャリアアップの道筋が、本人にもしっかり見えている
実は、
これらは外国人材だけでなく、
日本人社員にとっても「働きがいのある職場」の条件そのものです。
⑤ 専門家からの一言 ~「リスク」を「チャンス」に変える~
転籍は、たしかにリスクの面もあります。
でも、
見方を変えれば、
自社の環境を整えれば、
「他社で経験を積んだ即戦力の優秀な人材を、
中途で迎え入れられるチャンス」にもなるのです。
攻めと守り、
両方の視点で備えていきたいですね。
「うちの職場、外国人材から見てどう見えているんだろう?」
「定着してもらうためには、何から手をつければいい?」
そんなお悩みは、
ぜひ当事務所までご相談ください。
労務管理や職場環境の観点から、
現場に寄り添ったアドバイスをさせていただきます。
次回は、
「日本語能力要件の強化」というもう一つの大きな変更点について、
その意味と対策をお伝えします。
前の記事 : 【速報】外国人ビザ(査証)手数料が48年ぶりに大幅引き上げ ~7月1日申請分から、国内の入管手続との違いもあわせて解説~
次の記事 :



