2022/05/31
労働系在留資格(技人国)の要件3つについて
1.労働系在留資格とは?
在留資格には目的に応じて様々な資格(永住者、専門職、技能実習、特定技能、留学など)があります。
その中でも今回は就労目的で在留が認められる者に与えられる在留資格(労働系在留資格)について説明します。
厚生労働省によると、労働系在留資格を受けることのできる者、つまり、就労目的で在留が認められる者(いわゆる「専門的・技術的分野」)は職種毎に細かく規定されています。
この労働系在留資格は大きく3つに区別されています。
①「大卒ホワイトカラー、技術者」例えば、技術者・エンジニア・企画・営業職など
②「高度な専門的な職業」例えば、大学教授・法律家・医療従事者など
③「外国人特有又は特殊な能力等を活かした職業」例えば、料理人・語学講師・通訳・翻訳など
それぞれの区分毎に要件や必要書類が異なるため、事前にどの要件に当てはまるのかを確認しておくことが非常に重要であり、これらの職種に就く外国人の職務は各在留資格に定められた内容に限定されることになります。
具体的には、学歴や職務経験、日本語能力、専門的な知識、資格などです。
今回のブログでは、①「大卒ホワイトカラー、技術者」の労働系在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」について、説明をします。
2.労働系在留資格(技人国)の要件とは?
① 業務内容と学歴や職歴の一致が必須
労働系在留資格(技人国)の業務に従事する場合は下記の【学歴や実務経験】について、いづれかの要件を満たす必要があります。
従事しようとする業務について、
・当該技術または知識に関連する科目を専攻して大学を卒業、もしくはこれと同等以上の教育を受けたこと。
・当該技術または知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了したこと
(ただし、「専門士」または「高度専門士」の称号が付与された者に限る)。
・10年以上の実務経験を有すること。
(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程または専修学校の専門課程において当該技術または知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)
・【国際業務】に従事する場合は、3年以上の実務経験を有すること
(ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳または語学の指導に係る業務に従事する場合は除く)。
学歴に基づいて申請する場合、「学習内容と従事する業務の関連性」が重視されます。
審査においては、立証資料のうち「成績証明書」において履修した科目とこれから従事する職務内容を考慮した上で、関連性を判断されます。
また、専門学校を卒業した場合には、関連性がより一層厳格に審査される傾向にあります。
② 職務内容の専門性について
就労系在留資格(技人国)で重要なのは、原則的に現場作業者は認められないということです。
これは「①大卒ホワイトカラー、技術者」は「技術・知識などの専門性が必要な業務」をするために認められた在留資格ですので、単純作業のような業務は絶対に認められません。
単純作業に従事させる場合には「技能実習生」などの在留資格を取得しなければなりません。
【不許可の事例】
実際に、ホテル業での宿泊客の荷物の運搬や客室の清掃作業が「技術・知識などの専門性が必要な業務」にあたらないとして、不許可になったケースがあります。
また、同じくホテル業でフロント業務を行う旨の申請をしながら、2年間は実務研修としてレストランでの配膳や客室の清掃に従事する予定であるとの計画を提出したところ、不許可になったケースがあります。
この職務内容の専門性は非常に重要であり、在留資格の申請時や更新時に厳格に判断されますので、注意が必要です。
③ 日本人従業員との同等の条件
技能実習生とは異なり「①大卒ホワイトカラー、技術者である技人国」の在留資格では、日本人従業員が得ている報酬と同等額以上の報酬を与えなければなりません。
これは単にこの在留資格を持つ外国人の権利ではなく、条件となっています。
つまり、外国人であるだけの理由から給与の設定が日本人に比べて低いことを防ぐ目的(外国人労働者の権利保護)と企業に賃金面での差別を行わないように義務付ける(企業への法的義務)の二つの側面を持っています。
【不許可の事例】
工学部を卒業してコンピュータ関連のエンジニア業に就職した外国人の方が、日本人の給与(月額18万円)に比べ4.5万円少ない13.5万円の給与をもらうと申請したところ、不許可となった。
この要件は数字で明確な以上、裁量の余地がなく、厳しく遵守する必要があります。
3.まとめ
今回のブログでは、弊所でも相談が特に多い就労系在留資格(技人国)の要件について説明しました。
特に重要なのは次の3つですので、これらをしっかりと理解した上で、在留資格の申請や更新の手続きを行ってください。
【労働系在留資格(技人国)の要件3つ】
① 業務内容と学歴や職歴の関連性
②職務内容の専門性
③日本従業員と同等の条件
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