ビザ(査証)と在留資格の違いとは?
ビザ(査証)と在留資格の違い
過去2回のコラムでは、在留資格についてお話をしてきました。
今回は一般によく使う「査証(ビザ)」と「在留資格」との違いについて説明します。
日常生活では「査証」も「在留資格」も同じ「ビザ」と呼んでしまうかもしれませんが、一連の説明を聞けばなぜ混同してしまうのかも納得いくはずです。
1.法的根拠の違い
法的根拠とは、どの法律(広い意味の法律で、憲法・法律・政府の命令・判例等広い意味で法的なルールのこと)が査証や在留資格を規定しているかを意味します。
初めに「査証(ビザ)」について、まず日本法ではなく、国際法で慣習的に(国際慣習法)主権行為とされています。
つまり、具体的な内容は各国に一任することを意味します。
次に、日本法において具体的規定は外務省設置法の4条13項、7条1項、10条2項および3項に見られます。
特に4条は「外務省は、前条第一項の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる」と規定し、その13項は「査証に関すること」と述べています。
次に「在留資格」について、こちらも同様に国際慣習法上主権行為で具体的な内容は各国に一任されています。
日本法では出入国管理法(入管法)がこれを規定し、出入国在留管理庁は法務省の管轄になっています。
以上から、まず法的根拠が査証と在留資格では全く異なり、査証は外交相手国との関係で国によって必要になったりならなかったりするので、外務省に関する法律が規定しています。
一方、在留資格は申請者の出身国に関係なく必要になり、日本では法務省が管理をしています。
補足として、査証は外交が関係してくるので、世界の多くの国で外交を司る省庁の管理になりますが、在留資格は外交とは切り離されて考えられているので必ずしも日本のように法の整備に関わる法務省が管轄であるとは限りません。
ちなみに、フランスでは在留資格は「内務」と考えられており、内務省が管轄をしています。
2.効力の違い
まず査証について、査証は入国時に必要なもので一度限り有効です。
つまり、入国前に日本の大使館等にて申請と取得が必要で、同じく入国時に必要になるパスポートと同時に携帯しなければなりません。
次に、在留資格は入国後にしか申請できません。
これは入国のためのものではなく滞在のためのものであるからです(詳しくは一つ前のブログをご覧ください)。
しかし、この二つの全く異なる文書の名称が混同されて呼ばれているのは多くの場合、在留資格申請のために査証が必要になったり、短期滞在である場合、在留資格の申請の作業が省略されたりするからであると考えられます。
3.まとめ
以上のように混同がされやすい査証(ビザ)と在留資格は全く異なるものです。
短期滞在の場合、この混同は全く問題になりませんが、中長期滞在で在留カードが必要な場合はこの混同が大きな問題になってしまうかもしれません。
このブログでは以降、この区別に従ってビザという言葉を使っていきます。
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