【最新】特定技能の審査が厳格化!日本語試験の合格状況を入管が「全件照会」へ ~偽造合格証事件を受けた運用変更を解説~

いつも当事務所のブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、特定技能で外国人材を受け入れている企業様、
これから受入れを検討されている企業様にぜひ知っておいていただきたい、
審査運用の重要な変更についてお伝えします。
2026年1月から、出入国在留管理庁(入管)は、
在留資格「特定技能」の申請における日本語試験の合格証明書について、
申請者全員分の合否を試験運営団体に照会する運用を開始しました。
背景には、偽造された合格証によって特定技能の在留資格が許可されてしまう事案が実際に発生したことがあります。
本記事では、
この運用変更の背景と内容、そして受入れ企業様が押さえておくべきポイントを、
専門家の視点からわかりやすく解説します。
目次
そもそも「特定技能」の取得ルートをおさらい
特定技能は、人手不足分野で外国人材を受け入れるために2019年に創設された在留資格です。
取得ルートは大きく分けて2つあります。
① 技能実習ルート:
技能実習2号を良好に修了した方が、試験免除で特定技能1号へ移行するルートです。
制度創設当初はこのルートが大半を占めていました。
② 試験ルート:
「日本語能力試験(JLPT)」や「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」といった日本語試験と、
分野ごとの技能評価試験の両方に合格して取得するルートです。
近年は、技能実習の3年間を経ずに、
より早く・より良い待遇を求めて試験ルートで特定技能を目指す外国人が急増しています。
試験ルートによる在留者は、制度初年度にはごくわずかでしたが、
現在では特定技能在留者全体の半数近くを占めるまでに拡大しており、
入管は毎年膨大な件数の申請を審査している状況です。
何が変わったのか? ~「一部照会」から「全件照会」へ~
試験ルートで申請する場合、
申請人は日本語試験の合格証明書や受入れ企業との雇用契約書などを入管に提出し、
審査を受けます。
これまで入管は、
審査側・試験団体側双方の負担を考慮し、合格証が本物かどうかの試験運営団体への確認を、
必要と判断したケースに限って行ってきました。
しかし2025年、偽造した合格証で特定技能を取得していたベトナム人らが大阪府警に摘発される事件が発生。
入管の審査で偽造を見抜けていなかったことが明らかになり、
制度の信頼性が問われる事態となりました。
これを受けて入管は、2026年1月から申請者全員について、
日本語試験の合格状況を運営団体(日本国際教育支援協会・国際交流基金)に照会する運用へと切り替えました。
実際に、運用開始後すでに偽造合格証の提出が複数件発覚し、不許可となっています。
入管は、偽造が確認された場合には警察への通報も行う方針を示しています。
さらに、技能試験の合格証についても全件照会へ拡大する方向で、
各試験の所管省庁との調整が進められています。
今後、特定技能の申請審査全体がより厳格になっていく流れは確実といえるでしょう。
きっかけとなった偽造合格証事件
今回の運用厳格化の直接のきっかけとなった事件では、
偽造された日本語試験の合格証を入管に提出して特定技能を取得・就労していた人物のほか、
偽造合格証の調達役・仲介役が摘発されました。
調達役の人物は、
介護分野で必要となる「介護日本語評価試験」の偽造合格証を含め、
相当数の偽造証明書の調達に関与していたとされています。
裁判所も、偽造の精巧さと出入国管理制度への悪影響を厳しく指摘しました。
また、関連して日本語試験の「替え玉受験」による不正取得事案でも逮捕者が出ています。
こうした事態を受け、試験実施団体側でも、
試験当日に受験者の顔写真と在留カードを照合するなど、
本人確認の強化が進められています。
受入れ企業が押さえておくべきポイント
今回の変更は、
適正に申請を行っている企業様・外国人材にとっては本来不利益のないものですが、
実務上は次の点に留意が必要です。
① 審査期間が長期化する可能性:
全件照会となったことで、審査に要する期間がこれまでより延びる可能性があります。
雇用開始時期から逆算し、従来以上に余裕をもったスケジュールで申請準備を進めることをおすすめします。
② 合格証の真正性を採用段階で意識する:
人材紹介会社や送出機関経由で候補者を受け入れる場合でも、
提示された合格証の内容(試験名・レベル・受験時期など)が本人の経歴と整合しているか、
採用段階で確認する姿勢が重要です。
JLPTやJFT-Basicには合否のオンライン確認手段もありますので、不安があれば活用しましょう。
③ 不正に関与した場合のリスクは極めて大きい:
偽造書類による申請は入管法違反(虚偽申請)にあたり、外国人本人だけでなく、
事情を知りながら関与した関係者も処罰の対象となり得ます。
受入れ企業としても、不正が発覚すれば今後の外国人材受入れに重大な支障が生じます。
「知らなかった」では済まされない時代になりつつあると認識しておくべきです。
まとめ ~制度の信頼性向上は、適正な企業にとって追い風~
今回の全件照会は、
一見「審査が厳しくなった」というニュースに見えますが、見方を変えれば、
真面目に試験に合格した外国人材と、適正に受入れを行う企業が正当に評価される環境づくりでもあります。
特定技能制度が今後も持続的に活用されていくためには、こうした信頼性の確保が不可欠です。
一方で、審査の厳格化に伴い、書類の整合性や申請内容の正確性はこれまで以上に問われることになります。
当事務所では、特定技能の在留資格申請はもちろん、
外国人材の採用計画の段階からのご相談、登録支援機関に関するサポートまで、
ワンストップで対応しております。
「申請のスケジュールが不安」「候補者の書類に不安な点がある」といった場合も、お気軽にご相談ください。
行政書士法人KIS名古屋事務所 TEL:052-898-0939、お問い合わせはこちら
(参考:読売新聞オンライン 2026年6月5日「日本語試験の『偽造合格証』見逃さない…『特定技能』申請者全員の合否、入管が全件照会」)
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