【重 要】永住許可ガイドラインの改定案が公表されました(令和8年8月4日・パブリックコメント開始)

いつもありがとうございます。
令和8年8月4日の閣議後記者会見において、
法務大臣から、在留資格「永住者」に関する制度見直しの案が公表されました。
あわせて同日からパブリックコメント(意見公募)が開始されています。
永住許可をご検討中の方、また既に申請中の方にも影響が及びうる内容ですので、
当所より要点を整理してご案内いたします。
今回公表された3つの見直し
今回の発表では、大きく次の3点が示されました。
| 項 目 | 内 容 |
| ① 永住許可に関するガイドラインの改定案 | 独立生計要件・国益要件の運用を見直し |
| ② 永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン案 | 令和6年入管法改正で追加された取消事由の運用を明確化 |
| ③ 特定技能2号に係る省令改正 | 在留期間に「5年」を追加 |
いずれも現時点では「案」の段階であり、パブリックコメントを経て内容が確定します。
永住許可ガイドライン改定案のポイント
◆ 背 景
大臣の説明によれば、今回の改定は、本年1月に決定された総合的対応策において
「永住許可の在り方について、永住許可の趣旨を踏まえた見直しを検討すべき」とされたことを受けたものです。
永住者が最も安定した在留資格であることを踏まえ、
「公共の負担とならないことをより確実に担保する」という観点から、
独立生計要件および国益要件の運用が見直されます。
◆ ポイント①:世帯収入の水準
これまで「安定した収入があるか」が中心に見られてきた独立生計要件について、
改定案では、原則として、
申請者の世帯収入の額が、日本人世帯の平均収入を上回る水準の額に継続して達しているか
を考慮要素とすることとされています。
◆ ポイント②:年金の見込み額(新設)
さらに、将来において受給可能な年金の見込み額が、新たに考慮要素として加わります。
これは現行ガイドラインには存在しなかった視点であり、実務上のインパクトが大きい部分です。
※ 具体的な金額水準や算定方法など、詳細は改定案本文および今後の確定版をご確認ください。
報道やSNS等では具体的な数字が先行して流布していますが、
案の段階で確定していない事項も含まれますのでご注意ください。
【最重要】適用開始の時期にご注意ください
今回の発表で、実務上とりわけ注意を要するのが適用時期です。
項目によって開始日が異なります。
・ガイドライン全体の運用開始:令和9年4月1日
・収入に関する部分の適用開始:令和8年10月1日(ガイドライン改定日)
さらに大臣は、収入要件について次のように説明しています。
・改定日(令和8年10月1日)から6か月前の日以降に申請されたもので、
改定日時点で審査中の案件にも適用する
つまり、令和8年4月1日以降に申請し、10月1日時点でまだ審査中の案件は、
新しい収入の考え方で判断されうるということになります。
大臣は、この扱いの理由として、
収入は申請人が自活可能かどうかを判断するうえで重要であり、
改定後も従前の運用を続けることは適当でないと考えたこと、
また永住許可申請の標準処理期間が4か月から6か月であることを踏まえて
対象範囲を「6か月前以降」としたことを挙げています。
現在申請中の方も対象となり得る点は、必ずご確認ください。
永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン案
令和6年の入管法改正により、永住者について在留資格の取消事由が追加されました。
その施行は令和9年4月とされていますが、運用を明確化するため、
施行に先立ってガイドライン案が取りまとめられたものです。
永住許可を「取得すること」だけでなく、取得後に「維持すること」についても、
これまで以上に留意が必要となります。
特定技能2号の在留期間に「5年」を追加
就労を目的とする他の在留資格との均衡、および外国人の方の利便性を図る観点から、
「特定技能2号」の在留期間に5年を追加する省令改正が行われます。
更新頻度の負担軽減につながる、比較的ポジティブな改正といえます。
パブリックコメントについて
・意見募集期間:令和8年8月4日 ~ 9月3日(予定)
・提出方法等の案内:出入国在留管理庁ホームページ/e-Govパブリック・コメント
まだ「案」の段階ですので、当事者の方、受入れ企業の方、
支援に携わる方が意見を提出することができます。
最新の締切・提出要領は必ずe-Gov等の公式ページでご確認ください。
記者会見では慎重な意見も
当日の会見では、記者から、
・入管法22条が定める「独立の生計を営むに足りる資産又は技能」という法律要件に対し、
「日本人の平均以上」という水準を求めることは法律要件を超えているのではないか
・改定日より前に遡って収入要件を適用する法的根拠は何か
・経営・管理の在留資格の要件変更、手数料の引上げに続く変更で、
在留外国人の間に日本への不信感が生じているのではないか
といった指摘がなされました。
これに対し大臣は、今回の改定は総合的対応策を受けたものであり、
その趣旨は永住許可制度の適正化にあること、
いずれも秩序ある共生社会の実現に必要な施策であり、
出入国在留管理庁は法律に則って適正に運用していると考えている旨を回答しています。
当所より
今回の見直しは、永住許可の審査における「収入」の評価軸が大きく変わるものであり、
特に、
・令和8年4月以降に永住許可申請をされ、現在審査中の方
・近く永住許可申請をご検討中の方
・従業員の方の永住申請をサポートされている企業のご担当者様
にとっては、申請時期の判断そのものが結果を左右し得る内容です。
ご自身のケースが新しい取扱いの対象となるか、
また現時点で申請を進めるべきかどうか、
判断に迷われる場合はお早めにご相談ください。
当所では、確定版の公表状況を注視しながら、個別の状況に応じたご案内をいたします。
※ 本記事は令和8年8月4日時点の公表内容(案)に基づいています。
パブリックコメントを経て内容が変更される可能性がありますので、
最終的な取扱いは公式発表をご確認ください。
【出 典】
法務省「法務大臣閣議後記者会見の概要(令和8年8月4日)」 https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00905.html
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